2019年10月13日、予選プールの第4戦。スコットランド戦を回想します。
サモア戦後のインタビューで、リーチが発した言葉
サモア戦勝利後のインタビューでリーチからの驚きの発言が。
個人的にスコットランドをボコボコにボコりたいので、自分から盛り上げて最後の一戦がんばりたいと思います。やっちゃいます。
そしてこうも言っています。
勝つためには、優しい気持ちは必要ない。ティア1相手には鬼にならないといけない。
さらに試合直前のロッカールームでの円陣では
相手をボコボコにすることを怖がらなくていいから・・・・・ブチかまそう!
温厚で優しく、口数の少ない好青年のリーチが発したこれらの言葉に、正直驚きました。そして熱いものが込み上げてきました。紳士であるラガーマンの発言としては、決して看過できるものではありません。しかしリーチがここまで言うとは、余程のことがあってのことでしょう。前回大会では惨敗し、これまでも勝ったことはありません(厳密にいうと過去に一度勝ったことはあるのですが、スコットランドはテストマッチではなかったと、その試合を認めていない)。
◆テストマッチとは(ラグビーの場合)
ラグビーの場合、「真剣勝負」を意味し、国と国の誇りをかけたナショナルチーム同士の国際試合を指す。テストマッチと呼べるのはフル代表同士の試合のみで、これに出場した選手にはその栄誉を称えキャップ(帽子)が贈呈される。これはラグビーのルーツであるラグビー校の対抗戦に出場した選手に帽子が贈呈されていたことに由来する。キャップ数がそのままテストマッチ出場回数を示す。ラグビーはテストマッチである対抗戦によって作られてきた歴史がある。世界最古のテストマッチは1871年のイングランドvsスコットランド戦である。
古くからのファンは、このリーチの「ボコりたい」「鬼になる」「相手をボコボコにすることを怖がらなくていい」という発言を聞いて、「よくぞ言ってくれた!」と熱いものが込み上げて来たに違いありません。日本代表の仲間の選手達も、きっと鼓舞されたことでしょう。いよいよ負けるわけにはいかなくなりました!
前の週に引き続き、いざ「ラグビーワールドカップ2019 パブリックビューイングin京都」へ
さてこの日(10月13日 日曜日)は当日の朝の時点では、前日の台風の影響による被害で、まだ試合が行われるかどうか決まっていませんでした。なんとか開催されるとの情報が確認できたところで、車で京都へ向かうことになりました。試合が開催されてやれやれです。今になって思いますが、これが中止になっていたら、スコットランドと戦わずして決勝トーナメントへ進んだということで、大変な遺恨を残す大会になってしまうところでした。そして試合がもし中止になっていたら、こんな一生に一度味わえるか否かの試合を観ることができなかったわけですから、大会関係者及びスタッフの皆さんのご尽力には、ただただ感謝であります。
さあ、そしていよいよ歴史的な夜を迎えることとなるわけです!
国歌「君が代」斉唱
いよいよ会場はファンで埋め尽くされ、熱気ムンムン。選手がフィールドに整列し、国家斉唱の時間となりました。
スクリーンに映し出された横浜国際総合競技場の観客が立ち上がり、それに合わせて私たちも起立します。
そして「君が代」の斉唱が始まりました。物凄い一体感。斜め後ろのおっちゃんは、誰はばかることなく大声で泣きながら歌っています。私も思わず熱いものが込み上げ、一瞬声が出ませんでしたが、横浜国際総合競技場の選手や観客をはじめとして、全国のパブリックビューイング会場に集まった皆さん、テレビ観戦する皆さんが、今この時この瞬間に全国で「君が代」を思いを込めて斉唱されていると思うと、この瞬間は二度とない、みんなが一つになれる一生に一度の瞬間だと、改めて自分に言いきかせました。そしてギアを1段、いや2段上げて「君が代」を斉唱しました。
しかしこれまで生きてきた中で、これ程までに誇り高い気持ちで「君が代」を歌ったことはありません。日本が一つになっている感が凄かったです。「日本は強い」それを私たちにも世界にも証明して欲しい。さあいよいよ試合開始です!
まさに歴史に残る死闘!
・前半7分:スコットランド10番ラッセルのトライ、9番レイドローのコンバージョン成功 スコア 0-7
・前半18分:14番松島幸太郎のトライ、10番田村優のコンバージョン成功 スコア 7-7
・前半26分:1番稲垣啓太のトライ、10番田村優のコンバージョン成功 スコア 14-7
・前半40分:11番福岡堅樹のトライ、10番田村優のコンバージョン成功 スコア 21-7
・後半3分:11番福岡堅樹のトライ、10番田村優のコンバージョン成功 スコア 28-7
・後半10分:スコットランド3番ネルのトライ、9番レイドローのコンバージョン成功 スコア 28-14
・後半15分:スコットランド18番フェイガーソンのトライ、10番ラッセルのコンバージョン成功 スコア 28-21
・日本はその後、25分間のスコットランドの猛攻に耐え続け、ついにノーサイド。 スコア 28-21 日本勝利!
試合終了までの25分間、もう生きた心地がしなかった。スコットランドの誇りをかけた猛攻に対して、終始魂のタックルで耐える日本。スコットランドのサポーターは一緒になってアタックし、日本のサポーターは一緒になってタックルを繰り返す。心は彼らと共に正に戦っていました。
そして迎えたノーサード、小学校の体育祭の応援合戦以来です、あんなに大声を張り上げたのは。もうヘロヘロでした。岐阜へ帰る車の中でも興奮状態は続き、途中天下一品のこってりラーメンの大盛りを食べて帰りました。
福岡堅樹という男
本当に凄い体験をさせて頂きました。今大会、日本選手の活躍は凄まじいものがありましたが、このスコットランド戦に関しては、11番 左ウイングの福岡堅樹選手こそがマン・オブ・ザ・マッチ(最優秀選手)だったと思います。それは、華麗にトライを演出したとか、圧倒的加速力で相手を引き離しトライしたとか、独走トライを決めたとかいう理由ではありません。後半終了間際までスコットランドの猛攻に耐えに耐え、最後の最後に相手からボールを奪い取ったのは、何を隠そうこの福岡堅樹選手でした。この後、40分経過のホーンが鳴るまで日本はボールをキープし続け、ついに歴史的勝利を掴み取ることができたのです。
日本は強い
2015年のワールドカップで南アフリカを破り、3勝1敗という信じられない成績を残した日本。2019年では、ロシア、アイルランド、サモアを破り、スコットランドまで撃破した日本。そして何より忘れてはいけないことは、世界が日本に対してまったくのノーマークだった2015年大会とは違い、2019年大会はどの国も日本を軽視していない、非常に警戒されていたのは、紛れもない事実です。でも日本は勝った!
この試合を観て、南アフリカの9番(スクラムハーフ)のデクラーク選手はこう思ったそうです。「もはや日本はティア2の国ではない。強豪国だ。」と。
このスコットランド戦の激戦を制して、私もやっと次の言葉を口にすることを、自分自身に許しました。「日本は強い」
ついに日本代表は4戦全勝でベスト8という最大の目標を達成しました。そして有言実行、「日本は強い」ということを、我々日本人や世界中に証明してくれました。かっこよすぎる、もうたまらん「おまえらみんな好きだー!」
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。次回は南アフリカ戦です!
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